ベイスターズ1 スポーツ / トレーナー
スポーツ / トレーナー

治療した選手がゲームで活躍すると言葉にならないほど嬉しいものです


柔道整復科 2007年卒
猪俣 孝之さん
2016年4月取材
神奈川県立永谷高校硬式野球部出身。高校卒業後に呉竹鍼灸柔整専門学校へ入学。その後、横浜市の杉田接骨院に就職しスポーツ外傷に特化した治療経験を積む。その縁により横浜DeNAベイスターズのトレーナーに就任し、今年で6年目のシーズンを迎える。(2016.4取材)

柔整の道を真っ直ぐ進み、独立開業をするつもりだったのがまさかのトレーナー。
「治療の幅を広げる」ための決断でした

不思議なものですね。トレーナーという仕事にまったく興味のなかった私が、今ではプロ野球の選手を相手に専属トレーナーとして活動しているのですから。横浜DeNAベイスターズに入ったきっかけは、勤めていた治療院の先生からの誘いでした。当時の治療院は、サッカーやバスケットボールなど様々なスポーツ経験者が治療家として働いていたのですが、野球の経験者は私だけ。キャリアも私がいちばん長かったこともあり、そこに白羽の矢が刺さったのでしょう。ある日とつぜん先生から「行かないか?」と打診をされたのです。この治療院がベイスターズと親交があったことは知っていましたが、まさかそこに私が行くことになるとは!本当に驚きでした。ただし当時の私は「いずれ開業する」ことを目標にしていたので、いくら華やかな舞台といえども正直まったく興味を持たなかったのも事実。ましてやプロ野球のトレーナーです。柔整の道を真っ直ぐ進み独立を目指していた私には、寄り道もしくは遠回りにしか思えませんでした。しかし最後はこれも何かのご縁とベイスターズ行きを決断。「治療の幅が広がるかもしれない」と思ったからです。学校を卒業して3年目。25歳の時でした。

野球に人生をかけている若者たちが相手。
生半可な気持ちでは通用しないことを痛感

現在はリカバリー目的の施術を行っていますが、やはり選手の機能改善が中心ですね。アライメントを整えてあげたり、可動域を出してあげたり、筋出力を高めてあげることも重要なメニューです。とくにいまの私は、将来を嘱望された選手が集まる二軍を担当していますので、肩痛やひじ痛などの予防面からのアプローチも必要とされています。たとえばピッチャーの場合、誰がこの日に投げるかはわかっていますので、ゲーム当日はその選手を中心に準備が始まります。ブルペンで投げるのを見て、肩ひじの使い方などフォームをチェックしたり、ランニングしている姿を見てコンディションなどを把握することもあるなど、もうほとんど監督やコーチと変わりません(笑)以前、先発予定のピッチャーが「あれ、こんな状態で投げるの?」という時がありました。その選手は与えられたチャンスに応えようと必死なのはわかっていましたが、身体を見ると、とても「頑張ってこい!」とは送り出せない状態。こういう場面、トレーナーとしてどうすべきかとずいぶん悩みました。その選手の将来のためにトレーナーとしてストップをかけることも重要な役割ではないのかと思ったのです。結局この時は、選手本人との話し合いや、監督やコーチとの協議の末、数日の治療を経て、無事にファームで登板。いい結果を残し、見事一軍へと上がったのです。野球をご存知の方ならおわかりのとおり、この世界は一年一年が勝負。そこでチャンスを失ったり、首脳陣の期待に応えられなかった選手は、翌年もうユニフォームを着させてもらえないこともあります。だからこそ、チャンスを得た選手にはできるだけそれをモノにしてもらいたいし、最高のパフォーマンスを発揮できるよう私としても精一杯のことをしてあげたいのです。トレーナーとしての喜びは、その選手が活躍をすること。そしてチームの勝利です。そのために私たちは選手のために寝る間を惜しんで日々汗を流すのです。

人生の転機は突然やってくるもの。
そのためにも日々の勉強を怠らないことです

ベイスターズに入ったことは私の大きな転機でした。いまは本当に来てよかったと思っています。鍼灸師やAT、PTのトレーナーの方々と一緒に働いているので、治療に対する考え方や、知識・方法などを勉強することができ、ずいぶんと「治療の幅」が広がったと思っています。いまのところあと10年ぐらいはここで頑張っていきたいですね。そしてもし機会があったら、プロの現場で得たこの知識や治療方法を一般の方々や小中高生の選手に伝授していけたらなんて考えています。そしてやはり将来は、独立開業したいですね。まぁ今はそれよりも、目の前にいる選手たちのために全力を尽くします。

柔道整復師という国家資格をベースに幅広い知識があると選択肢が増えるかも

現在ベイスターズには1軍・2軍合わせて11名のトレーナーがいます。そのうち柔道整復師、鍼灸師の資格保持者は実に7名。主にメディカルの分野を担当していますが、トレーナーという仕事は治療だけでなく、トレーニング・リハビリ・栄養面などいろいろ携わることが多いので、一つのことだけにこだわらず、どんな場面・どんな状況にも対応できるように幅広い分野を勉強することが大切だと思います。そういう私も「あぁもっと学校でちゃんと勉強しておけばよかった」と後悔している一人。(笑)学生という時期は、将来の選択肢を増やすことが大切。努力をすれば必ず報われる世界ですから、自分を信じて一生懸命に取り組んで下さい。ともに頑張りましょう。どこかでお会いできたら気軽に声をかけて下さいネ!

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